目画像から人の内部状態を計測する研究

瞳孔径からの操作タスク難易度の推定

人の瞳孔径は外界の光量や視覚刺激と共に,人の情動や緊張,集中などの内部状態にも影響を受けることが知られています.しかし従来では,人の内部状態変化と瞳孔の関係は小さく,複数の試行を繰り返することで違いが見いだせるなどの結果にとどまっていました.我々は新たに,Pointing Maze Task (イライラ棒タスク)を用いることで,より強いタスク難易度と瞳孔径の関係を調査.具体的には,タスクの難易度が高い(経路の幅が短くゴールまでの距離が長い)ほど瞳孔はより散瞳しやすいことが明らかとなり,その間でのモデルも明らかになりました.

  • A Matsumoto, Y Tange, A Nakazawa, T Nishida, Estimation of task difficulty and habituation effect while visual manipulation using pupillary response, Video Analytics. Face and Facial Expression Recognition and Audience Measurement, Splinger LNCS, 2017.

瞬目動作の変化と眠気との関係

事故防止の観点から自動車運転手の眠気検出技術が求められ,様々な眠気推定システムが提案されています。眠気推定指標として瞬目特徴量が注目されていますが,これは弱~中程度の眠気に対して良い指標となりません。本研究では,広範囲の眠気に対する指標として開眼度ヒストグラムを提案しました。実車環境データで評価した結果,眠気あり・なしという2値分類について約91%の精度で識別可能です。さらに学習データを増やすために眠気誘発実験を行ったところ既存手法と比較した結果,提案手法は眠気レベルの細かい変動に関してより良く推定できることが分かりました。また,様々な眠気指標の比較と,目の情報のみから未来の眠気発生を予測できる限界時間に関する考察を行いました.